サービスというのは、サーバがネットワーク上で提供している機能のことです。たとえばファイルを共有するだとか、プリンタを共有するといったものもこの1つ。これらはネットワーク上にあるサーバが、共有サービスとして機能を開放しているから、クライアントから利用することができるのです。
「サービス」はサーバが提供している機能のこと
そもそもサーバというのは特別な機械を指すものではなく、「サービスを提供する側のコンピュータ」を指す言葉です。したがって、ファイルの共有など何らかのサービスをネットワークに対して提供しているものは、すべてサーバとして動作していることになります。こうしたサービスには、個々のコンピュータが自身のリソースを共有させるために用いるものから、ネットワーク全体を円滑に管理・運営するために欠かせないものまで様々な種類があります。
家庭用ルーターにも様々なサーバ機能が実装されている
前者の代表例が「ファイル共有」や「プリンター共有サービス」。特にプリンタの共有は、プリンタを1台用意するだけでネットワーク上のどこからでも印刷が可能になるため、LANを組むなら必ず利用したいサービスです。
一方、後者の管理・運営の代表例がDHCPやDNS。現在では家庭向けのルーターにもこうした管理機能が一部搭載されるようになっており、LANの構築を容易なものにしています。
「DHCP」はIPアドレスの割り当てなど設定を自動化する
DHCP(Dynamic Host ConfigurationProtocol)は、クライアントに対するネットワークの設定やIPアドレスの割り当てを自動化するためのサービスです。
ネットワーク上の各クライアントは、DHCPサーバにリクエストを投げることで、自身が使用するIPアドレスを借り受けてネットワークに参加することができます。このIPアドレスというものは、TCP/IPネットワークにおいては各コンピュータを識別するために用いられます。ですから当然ネットワークに参加するコンピュータは、それぞれ重複しない値を割り当てて使用しなくてはいけません。その管理の手間を、このサービスは削減してくれます。
「DNS」はコンピュータ名からIPアドレスを取得する
一方、なんだか似た響きのDNS (Domain Name System) は、IPアドレスとコンピュータ名との対応を管理するサービスです。このサービスによってコンピュータ名からIPアドレスを割り出すことができるため、私たちがコンピュータヘアクセスする際は、覚えづらいIPアドレスではなく、覚えやすいコンピュータ名を用いることができるようになるわけです。
これらのサービスが稼動しているネットワークでは、クライアント側の設定はほとんど自動化されることになります。したがって、ネットワークの構成変更にも手間がかからず、柔軟な対応が可能です。
「NTP」は時刻を同期させることができる
ネットワーク管理の他に、LANを便利に利用するためのサービスも存在します。たとえばNTP (Network Time Protocol)というサービスでは、そのサービスが稼動しているコンピュータの時刻に全コンピュータの時刻を同期させることができます。
「ゲートウェイ」は外と内とをつなぐ出入りロ
今どきの話で言うと、宅内にある複数の情報端末が同時にインターネットを利用できるのも、そうしたサービスが働いてくれているおかげ。本来は外部ネットワークとやり取りするためには、やり取りする台数分(世界的に一意な値となる)IPアドレスが必要ですが、外部ネットワークとの出入り口となるゲートウェイでは、1つのIPアドレスを複数の端末でシェアできるようにする機能(IPマスカレードという)が稼働しており、インターネットのWWW(WorldWideWeb)などを、複数の端末が同時に閲覧できるようにしています。
このように、ネットワークというのはサービスの組み合わせによって稼動しています。つまりネットワークで行えることというのは、「どんなサービスがそのネットワーク上で稼動しているか」によって決まるわけです。新たなサービスを追加することで、ネットワークの持つ機能はいくらでも柔軟に拡張することができるのです。