ネットワークには物理的な接続方法から、その上で流す電気信号の定義、通信内容を送受信する手順など様々な規則が定められています。こうした約束事に則った機器でネットワークを構成することによって、コンピュータの種類に依存することなく、多様な情報をやり取りできるようになっています。
電話もネットワークも変換という意味では同じ
この「約束事に則った機器構成」は、実生活に置き換えてみると、身近にある固定電話に良く似ています。固定電話の場合、電話機をモジュラーケーブルで宅内の回線口に接続して使うわけですが、その際どれだけ多機能な電話機であっても、逆に簡素な電話機であっても、私たちは通話にあたって電話機の種類を意識することはまずありません。これは電話機がアナログ公衆回線を利用するための規格に沿っているからです。音声を電話線に信号としてのせる部分がみな同じであれば、電話機の機種を揃える必要はないわけですね。
約束事を統一することで情報がやりとりできる
電話とコンピュータネットワークの違いと言えば、コンピュータには最初からそうした信号変換機能が付いているわけではない(それ専用の機器ではない)ことと、用意された公衆回線につなぐだけで終わるものでもないということ。コンピュータの場合様々な装置を組み合わせて、自身の利用に適したネットワークを実現化することになります。
「NIC」は電気信号と電子データとの翻訳機
LANの規格として広く普及しているEthernet(イーサネット)において、ネットワークを構成する機器としては、NIC、LANケーブル、ハブ、ルーターといった辺りが代表的なものになります。
NIC(Network Interface Card)は、コンピュータをネットワークに接続するために必須となる拡張ボードです。NICにはLANケーブルを接続するためのポート(挿し込み口)が設けられており、コンピュータ上のデータを電気的な信号に変換して、このポートから送り出します。他からの受信に関してもここで行い、その場合は受信した電子信号をもとのデータに復元してコンピュータへと渡します。言ってみればネットワークとコンピュータとの間を橋渡しする翻訳機みたいなものです。
現在のコンピュータはネットワークの利用を前提としていることがほとんどであるため、通常は最初からこの機能を内蔵した形で出荷されています。
「LANケーブル」は電気信号の物理的な通り道
LANケーブルは物理的にコンピュータを接続するケーブルです。たとえるなら、電話機を公衆回線に接続するためのモジュラーケーブルみたいなものです。このケーブルをNICのポートに挿し込んでコンピュータ同士を接続することにより、データを流すための経路が確立されます。
「ハブ」はLANケーブルの集線装置
ハブはLANケーブルの集線装置です。LANケーブルを接続するためのポートを複数備えており、その数だけコンピュータを接続することができます。
この装置は接続されたLANケーブル間の電気的な中継器となります。したがって、ここに接続されたコンピュータは、お互いにLANケーブルで接続された状態と同じになるわけです。これによって、複数台のコンピュータ間で、お互いに情報を送り合う環境がひとつ出来上がることになります。
これらが、手元のコンピュータ同士を接続してLANを構成するための「基本的な装置」です。コンピュータがどうやって物理的な接続口を持つか、そうして1対1の接続が可能になり、それが複数台でやり取りできるようになり······と広がっていく流れが少しは実感できましたでしょうか。
「ルーター」はネットワークの仕分け屋さん
最後に紹介するルーターに関しては、それらと少し毛色が異なります。ルーターは、異なるネットワークを相互に接続するために使用する機器なのです。たとえばLANとインターネットを接続するとか、支社間のLAN同士を接続してWANを構築するといった場合に必要となるもので、通信データがどのネットワークに送られるべきものなのかを判断し、適切な場所へと転送する仕分け屋さんです。