この記事のポイント
- PCやスマートフォン、サーバなどをネットワークに接続することでデータのやりとりが可能になる
- ネットワークは、情報収集やコミュニケーションの効率化など、さまざまな目的のために利用される
そもそもネットワークとは?
ネットワークとひと口にいっても、広い意味では物流、交通、人脈なども含まれます。網状に構成されている仕組をあらわす言葉がネットワークなのです。今回は、その中でも、コンピュータ同士がデータをやりとりする仕組みであるコンピュータネットワークについて説明します。
コンピュータネットワークは、PCやスマートフォンなどの情報端末をつないでつくられます。コンピュータネットワークのおかげで、他人とデータのやりとりができるのです。
コンピュータネットワークとは
以前は、多くのPCを導入しているような一部の大企業でのみコンピュータネットワークを利用していましたが、現在ではほとんどの企業や一般ユーザが利用しています。
ネットワークを利用する目的
データをやりとりすることは、ネットワークを利用する目的ではなく、手段に過ぎません。私たちは、主に次のようなメリットを得るために、ネットワークを利用しています。
- 情報収集を行う
- ユーザ間で文書ファイルなどを共有する
- 効率よくコミュニケーションを取る
- 出張申請や精算などの業務処理を行う
他にも、日常の生活や仕事などにおいてさまざまな目的で日々ネットワークは利用されています。ネットワークは使えて当たり前で、あまり意識されることがないかもしれません。しかし、ネットワークを利用する目的を明確にすることで、ネットワークの重要性も明確になるでしょう。
誰が利用できるネットワークなのか?
次の項目のポイント
- ネットワークの利用者によって、プライベートネットワークとインターネットの2つに分類できる
- プライベートネットワークは、社内や家庭内など利用できるユーザを限定している
- インターネットは、利用できるユーザを限定していないネットワークである
プライベートネットワークとインターネットの違い
ネットワークは利用する技術などにもとづいて、いろんな観点から分類できます。その中でも、「誰が利用できるネットワークなのか」で考え、大きく次の2つに分類するとわかりやすいです。
- ユーザを限定するプライベートネットワーク
- 誰でも利用できるインターネット
ネットワークの分類
社内ネットワークや家庭内ネットワークなど、接続できるユーザを自社内や家庭内に限定しているプライベートネットワークという分類があります。社内ネットワークは、原則としてその企業の社員だけが利用でき、家庭内ネットワークは、家族だけが利用できます。
プライベートネットワークの概要
インターネットの概要
一方、インターネットは接続するユーザを限定しておらず、誰でも利用可能なネットワークです。インターネットに接続すれば、他のユーザと自由にデータをやりとりできます。
プライベートネットワークだけでは
ユーザが限定されているプライベートネットワークは、その分、メリットもあまり多くありません。例えば、社内ネットワークは、同じ会社のユーザ間でのみファイルの共有やメールができるだけです。家庭内ネットワークなら、そのユーザの家族のみで通信できるだけです。
一般に、接続できるユーザが多くなればなるほど、ネットワークの利用価値は高まります。ネットワークの利用価値を高めて、ユーザがよりたくさんのメリットを受けられるようにプライベートネットワークをインターネットに接続することがほとんどです。
LANとWAN
次の項目のポイント
- 社内ネットワークは、LANとWANで構成される
- LANは拠点内のネットワークのことで、自前で構築と管理を行う必要がある
- 通信事業者が提供するWANサービスによって、拠点のLAN同士を接続できる
社内ネットワークの構築
LANとWANの違い
ネットワークに関する用語としてLANとWANをよく耳にします。LANとWANで構成されている企業の社内ネットワーク(イントラネット)で考えると、2つの違いがわかりやすいです。
例えば、規模が大きい企業は、複数の拠点を構えます。ある拠点のネットワークがLANです。LANを構築することで拠点内のPCやサーバの通信が可能になります。また、個人ユーザの家庭内のネットワークもLANです。
そして、複数の拠点でファイルを共有したり、メールを送受信したりするために、この拠点間の通信も必要です。拠点のLAN同士を相互接続するのが、WANです。
LANとWANの関係図解
つまり、拠点内のネットワークがLANで、LAN同士を接続するためのものがWANです。
LANとWANの構築と管理、費用
LANは自前で構築と管理を行います。LANを構築するための各機器の配置や配線そして必要な設定を行います。主に有線(イーサネット)や無線LANに対応している機器を利用します。機器のコストや設定のための人件費などの初期コストがかかります。そして、構築したあと正常に稼働するように日々の管理が必要です。LANでの通信料金はかかりませんが、管理を行うための人件費などの管理コストがかかります。
一方、WANはNTTなどの通信事業者が構築と管理を行っています。通信事業者が提供するWANサービスにはいろいろな種類があるので、適切なWANサービスを選択してください。コストは、サービスの初期契約費用と日々の通信料金を通信事業者に支払います。通信料金は通信量に応じた従量制や固定料金などサービスによって料金体系が異なります。
LANとWANのまとめ
LAN | WAN | |
---|---|---|
役割 | 拠点内の機器同士を相互接続する | 拠点のLAN同士を相互接続する |
構築と管理 | 自前で行う | 通信事業者が行う |
初期コスト | 設計や構築の人件費、機器のコスト | サービスの契約料金 |
ランニングコスト | 管理者の人件費 | 通信料金 |
LANは自前で構築して管理して、そのLANを接続するためには適切なWANサービスを契約することがポイントです。
インターネット
次の項目のポイント
- インターネットはさまざまな組織のネットワークであるASが相互接続している
- ASの例は、インターネット接続サービスを提供するISPである
- インターネット接続サービスによって、固定回線やモバイル回線で ISPと接続してインターネットを利用する
ネットワークのネットワーク
インターネットの構築要素
誰でも利用できるインターネットは、世界中のさまざまな組織が管理しているネットワークがつながったものです。その組織のネットワークをAS (Autonomous System)と呼びます。
ASの具体的な例は、インターネット接続サービスを提供するNTTコミュニケーションズなどのインターネットサービスプロバイダ(ISP)です。また、GoogleやAmazonなどインターネット上でサービスを提供している企業のネットワークもASです。
ISPの上位グループをTier1と呼んでいます。日本ではNTTコミュニケーションズがTier1 です。Tier1 以外のISPは、最終的にはTier1のISPにつながって自身が管理していないネットワークの情報も入手しています。つまり、インターネット上のすべてのISPはTier1を経由してつながっているのです。
ユーザは、インターネットを利用する際、どこかのISPとインターネット接続サービスを契約します。すると、自身が契約したISPのユーザとだけではなく、その他のISPのユーザとも通信できるのです。
インターネットの構成
インターネット接続サービスの概要
ISPと契約後、自宅や社内ネットワークのルータをISPのルータと接続すると、インターネットを利用できるようになります。または、ルータを介さずにノートPCやスマートフォンなどをISPのルータと接続することもできます。
ISPのルータと接続するためには、下の表のような固定回線またはモバイル回線を利用します。どのような通信回線を利用してISPと接続するかは、通信品質や料金などによって選択します。
固定回線とモバイル回線の種類
固定回線 | |
---|---|
専用線 | 通信速度が保証されるがコストが高い |
電話回線(ADSL) | 電話回線を利用した安価なインターネット接続が可能 |
光ファイバ(FTTH) | 光ファイバを利用した高速なインターネット接続が可能 |
ケーブルテレビ回線 | ケーブルテレビ回線をインターネット接続にも利用 |
モバイル回線 | |
---|---|
携帯電話網(4G LTE) | 携帯電話網を利用した広域のインターネット接続が可能 |
WiMAX/WiMAX2回線 | WiMAX網を利用した広域のインターネット接続が可能 |
無線LAN(Wi-Fi) | Wi-Fiアクセスポイント側の限られた範囲でのインターネット接続が可能 |
>>第2回:データを送受信しているのは何?【クライアントとサーバ・ネットワークアーキテクチャ・プロトコル・TCP/IP・オンプレミス】