用語解説

第53回:IPマスカレード

IPマスカレード(NAPT:Network Address Port Translation)

IPマスカレードとは、LANで利用するプライベートIPアドレスと、インターネット上で利用できるグローパルIPアドレスとを相互に変換する技術で、1つのグローバルIPアドレスを複数のコンピュータで共用することができます。ルータなどによく実装されている機能です。

プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとを1対1で変換するNATに対して、IPマスカレードでは、TCPUDPポート番号までを含めて変換を行います。これによって、1対複数の変換が可能となり、グローバルIPアドレスが1つしかない環境においても、複数のコンピュータが同時にインターネットへ接続することができるようになります。

ただし、一見便利なこの機能にも弱点があり、一部のアプリケーションが動かなくなってしまうなどの制約が生じます。これは、アプリケーションによっては通信に用いるポート番号を固定にしていることがあり、その場合はポート番号まで変換してしまうIPマスカレードでは利用できなくなってしまうからです。また、複数のコンピュータが同時に接続できるといっても、同一IPアドレスからの接続は1つに限定しているようなアプリケーションでは、やはり複数のユーザが同時にサービスを受けるということはできません。

本来、IPマスカレードという言葉はLinuxというOSで実装された機能の名前でしかなく、正確にはNAPT (Network Address Port Translation) という呼び方が正しくなります。ただし、IPマスカレードという呼び名の方が実際には普及しており、場合によっては「IPマスカレード=アドレス変換」という意味でNATと一括りにされているケースも多いようです。

関連用語

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