<<第18回:インタフェースはどれ?【MACアドレス・イーサネットインタフェース・RJ-45のイーサネットインタフェース・UTPケーブル・イーサネットフレーム・タイプコード】
この記事のポイント
- ネットワークの接続形態をトポロジと呼ぶ
- 初期のイーサネットはバス型トポロジを採用し、伝送媒体を共有している
どのように接続するか?
トポロジとは
接続の形態は主に3つ
ネットワークについての解説などを読むと、しばしば「トポロジ」という言葉が出てきます。トポロジ(topology)は、もともとは数学の位相幾何学という分野を意味する言葉です。図形のつながり方や位置関係に焦点をあてている学問分野です。そして、ネットワークにおいて、どのように機器同士を接続するかをあらわす言葉としても利用されるようになっています。ネットワークのトポロジ、すなわち、機器同士を接続する形態につ機いては、主に3つあります。
初期のイーサネットはバス型
同軸ケーブルを伝送媒体とする10BASE5や10BASE2は、バス型のトポロジです。バス型のトポロジは、1つの伝送媒体に各機器がぶら下がるような接続形態です。言い方を変えると、バス型のトポロジは1つの伝送媒体を複数の機器で共有していることになります。そこで、どのようにして伝送媒体を共有するかを制御しなければいけません。イーサネットは、そのための制御にCSMA/CDという方式を利用しています。
そして、バス型トポロジから、現在はレイヤ2スイッチを中心としたスター型トポロジへと移り変わっています。ただ、実際にバス型ではないもののネットワークについて解説する際に、イーサネットをバス型トポロジとして表現することもよくあります。
データを送信するタイミングを制御
次の項目のポイント
- CSMA/CDは早いもの勝ちの制御でケーブルが空いていればデータを送信できる
- 現在のイーサネットではCSMA/CDは特に必要なくなっている
CSMA/CDとは
1台しかデータを送信できない
伝送媒体(同軸ケーブル)を共有している初期のバス型トポロジとなるイーサネットでは、同時に複数の機器がデータを送信することはできません。ある瞬間にデータを送信できるのはただ1台のみです。データは同軸ケーブル上を電気信号(電流)として流れていきますが、電気信号が流れる回路が1つだけだからです。
早いもの勝ちの制御
イーサネットで伝送媒体をどのように利用するかを制御して、伝送媒体を共有するしくみがCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Colli-sion Detection)です。簡単にいうと「早いもの勝ち」です。
CSMA/CDの「CS」は、ケーブルを現在利用中かどうかチェックすることを指しています。ケーブルが利用中だったら待機します。ケーブルが空いていればデータを送信できます。ただ、同時に複数のホストがケーブルを空いていると判断してしまうと、データの送信を開始してしまいます。すると電気信号が衝突してしまい、その結果、データが壊れてしまいます。そのため電圧の変化で電気信号の衝突がわかるようにしています。
もし衝突したら、データを再送信します。同じタイミングでデータを送信すると再度衝突してしまいます。そこでランダム時間待機して、タイミングをずらすようにしています。
このように空いていたらデータを送信します。もし、衝突したら再送信することで、1本の伝送媒体を複数のホストで共有、すなわち使い回しできるようにしています。
ただ、現在のイーサネットでは、CSMA/CDは必要ありません。イーサネットは、伝送媒体を共有しているわけではないからです。
イーサネットのネットワークをつくる
次の項目のポイント
- レイヤ2スイッチは1つのイーサネットを利用したネットワークを構成する
- レイヤ2スイッチはネットワークの入リ口という役割もある
レイヤ2スイッチとは
レイヤ2スイッチの役割
レイヤ2スイッチはイーサネットを利用した「1つの」ネットワークを構成するネットワーク機器です。レイヤ2スイッチを複数台接続しても、1つのネットワークです。
ただし、VLANによってレイヤ2スイッチで複数のネットワークとすることもできます。VLANについては、後で解説します。
そして、レイヤ2スイッチで構成する1つのイーサネットネットワーク内でのデータの転送を行います。レイヤ2スイッチにとってのデータはイーサネットフレームです。レイヤ2スイッチは受信したイーサネットフレームにはいっさい変更を加えずに転送します。イーサネットフレームを転送するために、イーサネットヘッダのMACアドレスをチェックします。この後で、レイヤ2スイッチの動作のしくみを解説します。
ネットワークの入り口にも
また、レイヤ2スイッチは「ネットワークの入りロ」という役割もあります。レイヤ2スイッチにはたくさんのイーサネットインタフェースが備わっています。クライアントPCやサーバなどをネットワークに接続するときには、まず、レイヤ2スイッチと接続することになります。ネットワークの入り口になるという意味から、レイヤ2スイッチを「アクセススイッチ」と表現することもよくあります。また、レイヤ2スイッチは、一般家庭向けの製品の場合、「スイッチングハブ(※4)」と呼ばれることも多いです。
(※4)単に「ハプ」と呼ぶこともあります。ただ、個人的には「ハブ」という呼称は使うべきではないと考えています。「ハブ」だとOSI参照モデルの物理層レベルの「共有(シェアード)ハブ」と粉らわしくなるからです。