<<第1回:何のためにネットワークを利用する?【ネットワークとは・インターネット・プライベートネットワーク・AS・ISP・LAN・WAN・イントラネット・イーサネット】
この記事のポイント
- データを送受信している通信の主体はアプリケーション
- アプリケーション間の通信は双方向である
- アプリケーション間での通信の仕方は「クライアントサーバアプリケーション」と「ピアツーピアアプリケーション」に分類される
データを送受信しているのは何?
アプリケーション、ピアツーピアアプリケーションとは
データを送受信しているのは、主にアプリケーションです。アプリケーションを動作させているコンピュータはクライアントとサーバに分類できます。クライアントは通常のPCやスマートフォンです。サーバはたくさんのPCなどからのリクエストを処理する比較的高性能なコンピュータです。
データを送受信している主体
例えば、「Webサイトを見る」ときには、PCやスマートフォンなどでは、Webブラウザ、サーバ上ではサーバアプリケーションが動作しています。そして、WebブラウザとWebサーバアプリケーション間でデータのやりとりが行われます。アプリケーション同士でデータを送受信できるようにするための前段階の通信なども発生しますが、データを送受信する主体はアプリケーションであるということをまずは覚えておいてください。
そして、データのやりとりは双方向だということも重要です。たいていのアプリケーションは、サーバアプリケーションヘファイルの転送要求などの何らかのリクエスト(要求)を送信し、サーバアプリケーションがそのリクエストの処理結果をリプライ(応答)として返します。リクエストとリプライのデータを正しく送受信できてはじめてアプリケーションの機能が働くのです。
こうしたサーバとやりとりを行うアプリケーションは、クライアントサーバアプリケーションと呼ばれます。
通信の主体はアプリケーション(クライアントサーバアプリケーション)
ピアツーピアアプリケーション
サーバを介さずにクライアント同士で直接データの送受信を行うアプリケーションをピアツーピアアプリケーションと呼びます
ピアツーピアアプリケーションの例は、SNSのメッセンジャーやオンラインゲームなどです。ただし、通信相手を特定するために、サーバを利用するようなケースはあります。
ピアツーピアアプリケーションの仕組み【図解】
通信で利用する言語
次の項目のポイント
- 通信するためのデータのフォーマットなどの決まりごとをプロトコルと呼ぶ
- 複数のプロトコルを組み合わせたネットワークアーキテクチャにもとづいて通信を行う
- 現在はネットワークアーキテクチャとしてTCP/IPを利用する
ネットワークアーキテクチャとは
私たちが日本語や英語といった言語で会話するように、PCなどの通信では、ネットワークアーキテクチャを利用します。つまり、会話における言語に相当するのがネットワークアーキテクチャです。
通信するための決まりごと
言語には、文字の表記、発音、文法などのいろいろなルールがあります。ネットワークアーキテクチャでも同様です。通信相手の指定方法、つまり、アドレスやデータのフォーマット、通信の手順などのルールが必要です。通信におけるルールをプロトコルと呼びます。そして、プロトコルの集まりがネットワークアーキテクチャです。
お互いに同じ言語でないと会話ができないように、コンピュータ同士の通信でも同じネットワークアーキテクチャを利用する必要があります。
ネットワークアーキテクチャの仕組み【図解】
ネットワークの共通言語は「TCP/IP」
ネットワークアーキテクチャには下の図(ネットワークアーキテクチャの例)のようにいくつかの種類がありますが、現在ではほぼTCP/IPを利用します。TCP/IPはいわばネットワークの共通言語です。
TCP/IPでは、ネットワークを介してアプリケーションのデータをやりとりするために役割ごとに4つに階層化された複数のプロトコルを組み合わせています。
階層化することで、あとから変更や拡張が容易になるメリットがあります。例えば、何かのプロトコルの変更や機能を追加するときには、基本的にそのプロトコルのみを考えればよいのです。
ネットワークアーキテクチャの例
TCP/IPの階層
サーバを運用・管理する
次の項目のポイント
- クラウドサービスは、インターネットを介してサーバの機能を利用する
- クラウドサービスは、事業者がサーバの導入と運用・管理を行う
- クラウドサービスは、セキュリティや可用性に注意が必要
サーバ、クラウドサービス、オンプレミスとは
サーバを運用するのは大変
アプリケーションを動かすために、サーバが常時稼働するようにしなくてはなりません。新しくサーバを導入するには、適切なハードウェアの選定と、OSやサーバアプリケーションのインストール、テストが必要です。重要なデータを扱うサーバでは、サーバの状態を常に監視して、何か問題があればその対応を行います。データのバックアップも常にとっておかなければいけません。そして、必要に応じて処理能力を拡張する必要があります。セキュリティ対策も重要です。このように、サーバの運用管理には、時間とコストがかかります。
サーバをインターネット(雲)の向こうに
サーバを自前で運用管理するのではなく、インターネットを介してサーバの機能だけを利用できるようにしているのがクラウドサービスです。インターネットは、雲の向こうのサーバを利用するイメージで、クラウド(雲)のアイコンでよく表現されます。そのインターネットを経由するので、クラウドサービスと呼ばれます。
なお、自前でサーバを運用管理するような従来のサーバの運用管理方法は、オンプレミスと呼ばれます。
クラウドサービスの概要
クラウドサービスのメリットとデメリット
クラウドサービス事業者が、サーバの導入と運用・管理を行います。例えば、ファイルサーバのストレージ容量が足りなくなってきたら、ユーザは、サービス契約を変更するだけです。
クラウドサービスはとても便利ですが、セキュリティや可用性に注意が必要です。自身の管理の及ばない範囲でデータが保持されることと、サービスを利用できなくなる可能性もあることを認識しておきましょう。
>>第3回:サーバのどの部分を使う?クラウドサービスの分類化【SaaS・PaaS・IaaS・クラウド・レイヤ2スイッチ・ルータ・レイヤ3スイッチ】