第5回:ネットワークの構成を把握しよう【論理構成図・物理構成図・ネットワークインタフェース層・インターネット層・トランスポート層・アプリケーション層・TCP/IP・エンドツーエンド通信】

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この記事のポイント

  • ネットワークを運用管理するためには、ネットワーク構成を正しく把握しておくことが重要
  • ネットワーク構成図には2種類ある
  1. 論理構成図
  2. 物理構成図

ネットワークの構成を把握しよう

ネットワーク構成図

ネットワーク構成図の種類

ネットワークの設計には、ネットワーク構成を把握しておくことが大前提です。設計の際は、ネットワーク構成図である「論理構成図」と「物理構成図」をわかりやすくまとめておくことがとても重要になります。

ネットワーク同士の接続をあらわす論理構成図

論理構成図によって、ネットワーク同士がどのように接続されるかをあらわします。技術的な観点から、1つのネットワークは、ルータまたはレイヤ3スイッチで区切られています。そして、ルータとレイヤ3スイッチは複数のネットワーク同士を接続しています。

論理構成図のポイントは、いくつのネットワークがどのルータやレイヤ3スイッチで接続されているかをわかりやすくまとめることです。

論理構成図の例

論理構成図の例

機器の配置や配線をあらわす物理構成図

物理構成図によって、各機器の物理的な配置とそれぞれの機器のインタフェースがどのように接続されているかをあらわします。

物理構成図のポイントは、どの機器のどのインタフェースがどのようなケーブルで配線されているかをわかりやすくまとめることです。

物理構成図の例

物理構成図の例

物理構成図と論理構成図の対応

1つの物理構成図に対応する論理構成図は1つだけとは限りません。ネットワーク機器の設定によって、同じ物理構成図に対応する論理構成図が何通りにもなってしまうのです。

ネットワーク機器に行われている設定での論理構成図と物理構成図の対応をしっかりとわかりやすくまとめておきましょう。

ネットワークの共通言語


次の項目のポイント

  • TCP/IPは4階層で構成されている
  • ネットワークインタフェース層
  • インターネット層
  • トランスポート層
  • アプリケーション層
  • 各階層に含まれているプロトコルを組み合わせてアプリケーションの通信を行う

TCP/IPとは

PCもスマートフォンもサーバもTCP/IPを使う

PCやスマートフォンなどが通信するときの決まりごとをプロトコルと呼び、複数のプロトコルを組み合わせたものがネットワークアーキテクチャです。ネットワークアーキテクチャは、私たちが使う言語に相当するものです。

以前は、TCP/IPだけではなくさまざまな種類のネットワークアーキテクチャが利用されていましたが、今ではほぼTCP/IPのみを利用します。TCP/IPは、TCPIPを中心としたプロトコルの集まりで、ネットワークの共通言語となっています。PCやスマートフォンなどのOSにあらかじめTCP/IPが組み込まれていて、簡単に利用できるようになっています。また、TCP/IPを利用して通信を行うPCやスマートフォン、各種ネットワーク機器全般をホストと呼びます。

TCP/IPの階層構造

TCP/IPでは、「ネットワークを通じて通信する」ための機能を階層化して複数のプロトコルを組み合わせて実現しています。TCP/IPの階層構造は、下から「ネットワークインタフェース層」「インターネット層」「トランスポート層」最上位に「アプリケーション層」の4階層です。

下の【TCP/IPの階層(図)】では、各階層に含まれている代表的なプロトコルをまとめています。4つの階層のプロトコルがすべて正常に機能して、はじめて通信ができます。

TCP/IPの階層

TCP IPの階層

そして、ある階層が機能するためには、その下の階層が機能していることが前提です。Webアクセスの場合、プロトコルの組み合わせは、下の【Webアクセスのプロトコルの組み合わせ(図)】の例のようになります。

Webアクセスのプロトコルの組み合わせ

Webアクセスのプロトコルの組み合わせ

データを転送する役割を持つ階層


次の項目のポイント

  • ネットワークインタフェース層の役割は同じネットワーク内のインタフエース間でデータの転送を行うこと
  • インターネット層の役割は離れたネットワーク間のデータの転送を行うこと

ネットワークインタフェース層とインターネット層

ネットワークインタフェース層

ネットワークインタフェース層の役割は、同じネットワーク内でデータを転送することです。技術的な観点からいえば、1つのネットワークは、ルータやレイヤ3スイッチで区切られる範囲、またはレイヤ2スイッチで構成する範囲です。

ネットワークインタフェース層の概要

ネットワークインタフェース層の概要

例えば、レイヤ2スイッチに接続されているPCのインタフェースから、同じレイヤ2スイッチに接続されている別のPCのインタフェースまでデータを転送できます。その際、「0」「1」のデジタルデータを電気信号などの物理的な信号に変換して、伝送媒体で伝えていきます。

ネットワークインタフェース層の具体的なプロトコルとして、有線(イーサネット)無線LAN (Wi-Fi)PPPなどが挙げられます。なお、ネットワークインタフェース層のプロトコルは通信相手と同じものを使う必要はありません。

インターネット層

1つのネットワークにあらゆる機器が接続されているわけではありません。たくさんのネットワークが存在し、そこにいろんな機器を接続しています。インターネット層は、そのネットワーク間のデータの転送を行う役割を持っています。

ネットワーク同士を接続してデータの転送を行っているのは、ルータです。ルータによるネットワーク間のデータの転送を指して、ルーティングと呼びます。また、ネットワーク間の最終的な送信元と宛先の間のデータの転送を指してエンドツーエンド通信と呼びます。

エンドツーエンド通信

エンドツーエンド通信

インターネット層に含まれる具体的なプロトコルは、IPICMPARPなどです。なお、エンドツーエンド通信を行うために利用するプロトコルはIPで、ICMPやARPはIPを補佐するプロトコルです。

>>第6回:アプリケーションを動かすための準備をする階層【トランスポート層・アプリケーション層・制御情報(ヘッダ)・カプセル化・非カプセル化・逆カプセル化・FCS (Frame Check Sequence)・IPヘッダ・HTTPヘッダ】

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