ネットワーク上の登場人物と言えば、サーバとクライアント。これは、そういう名前のコンピュータがいるわけでなく、コンピュータの役割を表現するために使う言葉です。サーバというのは「給仕人」という意味です。
「サーバ」とはネットワークの給仕人
ちょっと高級なレストランとかに行くといますよね?席に案内してくれたり、メニューを持ってきてくれたり、わからないことがあると教えてくれたりする親切な人。ネットワークの中であの役割を果たすのがサーバさんの仕事です。
反対にクライアントとは「依頼人」という意味です。「あれしろ~」「これくれ~」とねだる側。役柄で言うとレストランに来たお客さんですね。席につくことからはじまって、注文したり質問したりと、様々な要望をサーバ(給仕人)に伝えて叶えてもらうわけです。
主人公は依頼人である「クライアント」
レストランではお客さんが主人公であるように、ネットワークでも主人公はクライアントです。サーバはあくまでも補助をする側であり、「何をしたいのか」を能動的に伝えるのはクライアントの仕事。こうした「サービスを提供する人」と「サービスを受ける人」がやり取りを行うことによって、ネットワークでは情報が行き交うことになるのです。
「Peer-to-Peer」では、お互いにリソースを共有する
コンピュータが5~6台といった小規模なLANの場合、サーバとして専用のコンピュータを設置することは珍しく、ほとんどがPeer-to-Peer(ピア・トゥー・ピア)型のネットワークとなります。
Peer-to-Peer型のネットワークとは、ネットワーク上のクライアントがお互いにファイルやプリンタといったリソースを共有しあう形態です。そこでは、自分のファイルやプリンタを使用したいと依頼された時はサーバとなり、他のコンピュータのリソースを使用したい時はクライアントとなって依頼を出します。
ネットワークへの参加が自由にできる
この形態では、高級レストランのように専任の給仕人は居ません。各コンピュータが、時にはサーバとなり、時にはクライアントとなり······と、その時々の状況に応じて役割を変えるのです。
このように、Peer-to-Peer型のネットワークにおいては、各コンピュータは同等の権限を持っていて、しかも独立しています。そのため、ネットワークにコンピュータを追加したり、逆にネットワークから切断したりといったことも、誰に許可を取る必要もなく自由に行うことができます。そうしたことから、手軽に扱うことのできるネットワーク形態だと言えます。
「クライアントサーバ」は、サーバで一括管理する
それとは逆に、専任の給仕人、つまりサーバとして専用のコンピュータを設けてネットワークを管理する方法もあります。これはクライアントサーバ型と呼ばれるネットワーク形態で、ネットワークの管理をサーバ上で一括して行うものです。
たとえば給仕人のいるレストランでは、席に座ることすら好き勝手には行えず、その案内のもとで行われますよね。そうした上で要求を伝え、席に着き、必要なサービスを受けるわけです。クライアントサーバ型のネットワークもこれと同じ。コンピュータはネットワークに参加する時点から、サーバに対して許可を得なくてはいけません。そして、サーバ上にあるファイルやプリンタなどの利用を依頼して、必要なサービスを受けるわけです。
ネットワーク全体を柔軟に管理できる
一見まどろっこしく見える方法ですが、サーバ側で一括して管理することができるため、ある程度規模の大きなネットワークになると逆に管理の手間がかかりません。なんでもそうですが、参加者が増えると、なにやら怪しい人が混じってきたり、喧嘩が始まったり······となるのは世の常。一括管理であれば、そんな場合も、セキュリティ上好ましくない利用者に制限をかけたり、ネットワークへの参加を拒否したりなど、一箇所で柔軟にサービスの構成を変更することができるため、手間がかからないのです。