第17回:同じネットワーク内での転送を繰り返す【イーサネット・無線LAN・Wi-Fi・IEEE802委員会・LANケーブル・UTPケーブル】

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この記事のポイント

  • 異なるネットワークへの通信は、同じネットワーク内でのデータの転送を繰り返していく
  • 同じネットワーク内の転送を行うためによく利用するプロトコル
  1. イーサネット
  2. 無線LAN(Wi-Fi)

同じネットワーク内での転送を繰り返す

サーバは遠く離れているけど・・

手もとのPCやスマートフォンなどとサーバのアプリケーション間でデータの送受信を行います。サーバはたいていPCやスマートフォンとは遠く離れた異なるネットワークに接続されています。技術的な観点で考えると、「ネットワーク」はルータまたはレイヤ3スイッチで区切っている範囲です。ネットワークの基本的な構成は、レイヤ2スイッチで1つのネットワークを構成して、ルータまたはレイヤ3スイッチでネットワークを相互接続しているというものです。

同じネットワーク内の転送を繰り返していく

異なるネットワークに接続されているサーバまでのデータ転送は、同じネットワーク内の転送を繰り返していくことで実現しています。

PCからサーバ宛てのデータは、まず、PCと同じネットワーク上のルータへ転送します。そして、ルータはさらに同じネットワーク上の次のルータへ転送します。データが宛先と同じネットワーク上のルータまでやってくると、そのルータが宛先のサーバまで転送します。

同じネットワーク内の転送を繰り返す

同じネットワーク内の転送を繰り返す

よく使うのはイーサネットと無線LAN(Wi-Fi)

こうした同じネットワーク内での転送を行うプロトコルとしてよく利用しているのがイーサネットと無線LAN(Wi-Fi)です。TCP/IPの階層構造では、一番下のネットワークインタフェース層に位置しているプロトコルです。

イーサネット、無線LANの位置づけ

イーサネット、無線LANの位置づけ

ネットワークインタフェース層のプロトコルには多くの種類がありますが、ここからは、よく利用するイーサネットと無線LANについて解認します。

データを転送するイーサネット


次の項目のポイント

  • イーサネットは、TCP/IPのネットワークインタフェース層に位置するプロトコル
  • イーサネットは、同じネットワーク内のイーサネットインタフェース間でデータを転送するためのプロトコル

イーサネットの概要

データを転送するのがイーサネット

イーサネットTCP/IPの階層の一番下であるネットワークインタフェース層のプロトコルです。イーサネットは、データを転送するためのプロトコルなのですが、ポイントは、「イーサネットでどこからどこまでのデータの転送を行っているか?」です。

イーサネットでは、同じネットワーク内のあるイーサネットインタフェースから別のイーサネットインタフェースまでのデータを転送します。同じレイヤ2スイッチに接続されているPCは同一ネットワークに接続されていることになります。(※1)

同一ネットワークのPCのイーサネットインタフェースから別のPCのイーサネットインタフェースヘデータを転送するのがイーサネットによるデータの転送です。

イーサネットの概要

イーサネットの概要

この際、レイヤ2スイッチのイーサネットインタフェースは特に意識することはありません。レイヤ2スイッチはイーサネットで転送するデータにはいっさい変更を加えないからです。レイヤ2スイッチの動作の仕組みは、あらためて後で詳しく解説します。

(※1)VLANの機能を利用すると、同じレイヤ2スイッチに接続されていても別のネットワーク扱いにすることもできます。

有線ネットワークをつくる

こうしたイーサネットを利用して、いわゆる有線ネットワークをつくっています。PCやサーバ、レイヤ2スイッチといったイーサネットインタフェースを持つ機器同士をつなげて、イーサネットのリンクをつくることで有線ネットワークとなります。

イーサネットの規格


次の項目のポイント

  • イーサネットにはさまざまな規格がある
  • イーサネットの規格は、伝送速度と伝送媒体の特徴をあらわす1000BASE-Tのような規格名称が決められている

IEEE802委員会

イーサネットにはいろんな規格がある

イーサネットには、10Mbpsの規格から100Gbpsの非常に高速な規格までさまざまです。

主なイーサネット規格

主なイーサネット規格

規格は、IEEE802委員会で定められています。イーサネットのさまざまな規格の違いは、最大の伝送速度や利用する伝送媒体(ケーブル)が主なものです。

イーサネットの規格名称

イーサネットの規格名称にはIEEE802.3で始まるものと1000BASE-Tなど伝送速度(※2)と伝送媒体の特徴を組み合わせたものがあります。「1000BASE-T」のような伝送速度と伝送媒体の特徴を組み合わせた規格名称の方が目にする機会は多いでしょう。このような規格名称のルールについて解説します。ポイントは伝送速度と伝送媒体です。

まず、最初の数字は伝送速度をあらわします。基本的に Mbps単位です。「1000」とあると1000Mbsp、すなわち 1Gpsの伝送速度のイーサネット規格ということになります。そして「BASE」はベースバンド方式という意味です。現在では、ベースバンド方式以外は利用しません。

「-」のあとは、伝送媒体や物理信号との変換の特徴をあらわしています。いろんな表記がされる部分ですが、「T」がある場合は伝送媒体にUTPケーブルを利用しているということを知っておけばよいでしょう。UTPケーブルは、いわゆるLANケーブルで、最もよく利用される伝送媒体です

イーサネットの規格名称のルール

イーサネットの規格名称のルール

ちなみに、初期のイーサネット規格は、BASEのあとに数字が記されます。数字の場合は、伝送媒体に同軸ケーブルを利用していて、100m単位のケーブルの最大長を意味しています。

>>第18回:インタフェースはどれ?【MACアドレス・イーサネットインタフェース・RJ-45のイーサネットインタフェース・UTPケーブル・イーサネットフレーム・タイプコード】

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