第25回:最終的な宛先を確かめる【ルーティングテーブル・ルート情報・経路情報・ネットワークアドレス/サブネットマスク・ネクストホップアドレス】

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この記事のポイント

  • ルーティングの処理はルータごとに行い、最終的な宛先に直接接続されているルータまでIPパケットが転送されていく

最終的な宛先を確かめる

次のルータの処理

R2でも同様の処理を行う

レイヤ2ヘッダを書き換えてR2へ転送

レイヤ2ヘッダを書き換えてR2へ転送

上の図のR1から転送されたIPパケットは、下の図のR2で受信します。

R2 ルーティング対象パケットの受信とルーティングテーブルの検索

R2 ルーティング対象パケットの受信とルーティングテーブルの検索

ルーティングの処理はルータごとに行います。R2でもR1と同様にルーティングの処理を行っていくことになります。

R2が受信したIPパケットのアドレス情報は次の通りです。

[受信したアドレス情報]

宛先MACアドレス:R21 送信元MACアドレス:R12

宛先IPアドレス:192.168.2.100 送信元IPアドレス:192.168.1.100

[当初のアドレス情報]

宛先MACアドレス:R11 送信元MACアドレス:H1

宛先IPアドレス:192.168.2.100 送信元IPアドレス:192.168.1.100

ホスト1が送信したものと比べるとMACアドレスは書き換わっていますが、IPアドレスは同じです。宛先MACアドレスがR2のもので宛先IPアドレスはR2のものではありません。これはルーティング対象のIPパケットです。

最終的な目的地はどこ?

R2はルーティングするために宛先IPアドレス192.168.2.100に一致するルート情報を検索します。すると、192.168.2.0/24のルート情報が見つかります。ネクストホップは直接接続となっていて、最終的な宛先IPアドレス192.168.2.100はR2と同じネットワーク上だということがわかります。

最終的な宛先へデータを届ける


次の項目のポイント

  • 最後のルータは、IPパケットの宛先IPアドレスのMACアドレスをARPで問い合わせて、IPパケットを転送する
  • 通信は双方向であることを忘れない

最終的な宛先への転送

同じネットワーク内にいることを確かめる

R2はルーティングテーブルのルート情報から、IPパケットの最終的な宛先である192.168.2.100(ホスト2)は、R2のインタフェース2と同じネットワーク上にいることがわかります。最終的な宛先であるホスト2へIPパケットを転送するためには、ホスト2のMACアドレスが必要です。そこで、IPパケットの宛先IPアドレス192.168.2.100のMACアドレスを求めるためにARPを行います。

ARPでホスト2のMACアドレスH2がわかれば、新しいイーサネットへッダをつけて、R2のインタフェース2からIPパケットを転送します。やはり、R2で受信したときとはMACアドレスは変わりますが、IPアドレスは同じです。

R2で転送したIPパケットは無事に最終的な宛先となっているホスト2まで届くことになります。

レイヤ2ヘッダを書き換えてホスト2へ転送

レイヤ2ヘッダを書き換えてホスト2へ転送

データが届いたら返事を送信する

また、以降の詳しい解説は省略しますが、通信は原則として双方向であるということをあらためて思い出してください。

ホスト1からホスト2へ何かデータを送信すると、その返事としてホスト2からホスト1へデータの送信が発生します。ホスト2からホスト1へ送信するデータも同じようにルータが宛先IPアドレスとルーティングテーブルから転送先を判断します。そして、レイヤ2ヘッダを書き換えながら転送していくことになります。

ルータが認識しているネットワークの情報


次の項目のポイント

  • ルーティングテーブルには、あるネットワークへIPパケットを転送するために次にどのルータに転送するかという経路が登録されている
  • ルーティングテーブルに登録されている情報をルート情報と呼.ぶ

ルーティングテーブル

ルーティングテーブルとは

前項で、ルータがルーティングするときにはルーティングテーブルができていることが大前提だと解説しました。ルーティングテーブルには、あるネットワークへIPパケットを転送するための経路が登録されています。経路とは、具体的には次に転送するべきルータです。ルーティングテーブルに登録されているネットワークの情報をルート情報経路情報と呼びます。

ルート情報の内容

ルーティングテーブル上のルート情報にどのようなことが記載されているかは、ルータの製品によって若干異なります。下の図は、企業向けのルータでよく利用されているCisco Systems社のルータのルーティングテーブルの例です。

ルーティングテーブルの例

ルーティングテーブルの例

ルート情報の内容のうち重要なのは、宛先のネットワークアドレス/サブネットマスクとネクストホップアドレスです。

隣のルータまでわかっていればよい

ルーティングテーブルで、隣のルータのネットワーク構成を認識しています。ただし、ネットワーク全体の詳細な構成ではなく、自身を中心として隣のルータの向こう側にどんなネットワークが存在するかというレベルです。続いているネットワークへと転送を繰り返していくわけなので、のルータまで転送できればよいからです。

ルーティングテーブル上で認識できないネットワーク宛てのIPパケットはすべて破棄されてしまいます。そのため、ルーティングテーブルに必要なルート情報をすべてもれなく登録しておかなければいけません。これは1台のルータだけではなく、ネットワーク上のすべてのルータに対して同様です。

>>第26回:ルーティングテーブルの最も基本的な情報【直接接続・スタティックルート・ルーティングプロトコル・ルート集約】

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