<<第26回:ルーティングテーブルの最も基本的な情報【直接接続・スタティックルート・ルーティングプロトコル・ルート集約】
この記事のポイント
- デフォルトルートは「0.0.0.0/0」であらわすすべてのネットワークを集約した究極の集約ルート
- インターネット宛てのルーティングを行うためのルート情報としてデフォルトルートを利用することが多い
ルート情報を究極にコンパクトにする方法
デフォルトルートとは
すべてのネットワークを集約
ルート集約を最も極端にしたのがデフォルトルートです。デフォルトルートは「0.0.0.0/0」であらわすルート情報で、すべてのネットワークを集約しています。つまり、デフォルトルートをルーティングテーブルに登録しておけば、すべてのネットワークのルート情報を登録していることになります。
「未知のネットワーク宛てのパケットを転送するためのルート情報」というデフォルトルートのよくある解説は、正しくありません。デフォルトルートはすべてのネットワークをあらわしています。そのため、デフォルトルートをルーティングテーブルに登録しているルータには、未知のネットワークはありません。ただ、とても曖昧な情報として登録されていることになります。
デフォルトルートの利用例
インターネット宛てのパケットをルーティングするために、デフォルトルートをルーティングテーブルに登録することが多いです。インターネットには膨大な数のネットワークが存在しますが、パケットをルーティングするときにネクストホップが共通になっていることがほとんどです。そこで、インターネットの膨大な数のネットワークをデフォルトルートにすべて集約してルーティングテーブルに登録します。
また、企業の小規模な拠点のルータでは、他の拠点の社内ネットワークとインターネットのネットワークをデフォルトルートに集約していることもあります。
ルータとレイヤ2スイッチの機能を持つデータ転送機器
次の項目のポイント
- レイヤ2スイッチにルータの機能を組み込んだネットワーク機器がレイヤ3スイッチ
- 同ーネットワークのデータ転送のときはレイヤ2スイッチ、異なるネットワーク間のデータ転送のときはルータのように転送する
レイヤ3スイッチとは
レイヤ3スイッチの概要
レイヤ3スイッチは、レイヤ2スイッチにルータの機能を追加しているネットワーク機器です。そのため、レイヤ2スイッチのようなデータの転送もできますし、ルータのようなデータの転送もできます。レイヤ3スイッチの外観は、レイヤ2スイッチとよく似ています。レイヤ2スイッチと同じようにたくさんのイーサネットインタフェースを備えたネットワーク機器です。
レイヤ2スイッチとルータのデータの転送の特徴を下の表にまとめています。
レイヤ2スイッチとしても、ルータとしても使える
レイヤ3スイッチは、同一ネットワークのデータの転送のときはレイヤ2スイッチと同じようにMACアドレスにもとづいて転送します。一方、ネットワーク間のデータ転送のときはルータと同じようにIPアドレスにもとづいて転送します。
下の図では、レイヤ3スイッチが、ネットワーク1(192.168.1.0/24)とネットワーク2(192.168.2.0/24)と相互接続しています。そして、PC1とPC2は同じネットワークとなり、PC3は違うネットワークとしています。
このようなネットワーク構成をとるために、レイヤ3スイッチでVLAN(Virtual LAN) の機能を利用します。レイヤ3スイッチの仕組みを知るうえでは、VLANを理解することが必須です。VLANについては、後で解説します。
レイヤ2スイッチでネットワークを分割する
次の項目のポイント
- VLANによってレイヤ2スイッチでネットワークを分割できる
- 同じVLANに割り当てられているポート間でのみイーサネットフレームの転送を行う
VLANとは
ネットワークを複数に分割する
レイヤ2スイッチは「1つの」イーサネットのネットワークを構成するネットワーク機器です。1つのネットワークに数多くの機器を接続すると、不要なデータ転送が多数発生してしまいます。不要なデータの転送を抑え、セキュリティや管理面からネットワークの分割を行う必要があります。
レイヤ2スイッチは通常は「1つの」ネットワークですが、レイヤ2スイッチでネットワークを複数に分割できるようにするのがVLANです。
VLANのしくみ
VLANのしくみ自体は極めてシンプルです。通常のレイヤ2スイッチはすべてのポート間でのイーサネットフレームの転送が可能です。それをVLANによって、「同じVLANに割り当てているポート間でのみイーサネットフレームを転送する」ようにしています。
簡単なネットワーク構成でVLANのしくみを考えましょう。
下の図は、1台のレイヤ2スイッチでVLANを利用した構成例をあらわしています。レイヤ2スイッチでVLAN10とVLAN20を作成し、ポート1とポート2をVLAN10に割り当てています。また、ポート3とポート4はポVLAN20 に割り当てています。すると、VLAN10のポート1とポート2間のみイーサネットフレームを転送可能です。また、VLAN20のポート3とポート4間のみイーサネットフレームを転送できるようになります。VLANが異なるポート間ではイーサネットフレームの転送を行いません。